【悲しみのブロッコリー】夏の日の惨劇
あれは3年前の夏のことでした。一緒に住んでいる妹が、アルバイト先からもらって来たブロッコリーが巻き起こした事件のことをお話しします。
もともとブロッコリーが大好きな私。いそいそとお湯を沸かし、その日採れたばかりだというそのブロッコリーを茹で始めました。
時間を見て、もう良いだろうとワクワクしながら鍋のフタに手をかけました。 鍋の中で起きている惨劇も知らずに...。
ブロッコリーは目にも鮮やかな緑色に茹で上がり、なんとも食欲をそそります。素晴らしい。
しかし、均一に茹で上がったか確認するために菜箸を差し入れた時、それは浮かんできました。
目から入ってきた情報と、脳が知っている知識がつながった瞬間、3mくらい跳ね退きました。
「 イ モ ム シ ! ! ! 」
そうです。私が本当に恐れている生き物、イモムシが浮いていたのです。それも、1匹2匹ではありませんでした。
青虫がブロッコリーに付いていたことに気付かず、煮えたぎる鍋に投入してしまったのです。
青虫が付いていたブロッコリーを触っちまったのか.....と、しばらくは虫酸が身体中を爆走していました。
何はともあれ、もう鍋の中は私にとって修羅。近寄りたくもありません。
結局、イモムシが怖くない妹が箸でつまんで外に捨ててきてくれたのですが、その間ずっと部屋の角で体育座りで待っていました。
今もブロッコリーは大好きですが、あの日のトラウマのせいで二度とブロッコリーを茹でることができない体になってしまいました。
「イモムシのなにが怖いの?噛んだりしないよ?」 と、よく言われますが、私にも恐怖の原因がわからないのです。
おそらく、私の前世が美味しいキャベツかブロッコリーだったのでしょう。
私の町には、夏になると農家さんの奥様たちが営む野菜の直売所ができるのですが、そこでもブロッコリーを買えないつらさを抱えて今日も生きています。
強く生きたいと思っている、こげぱんでした。